アジアパラ競技大会最終日の2026年10月24日(土)、オアシス21(名古屋市東区)のONE HEART WORLDで最後のレジェンドアスリートトークショーを終えた安藤美姫さんにインタビューいたしました。
名古屋市生まれ・名古屋育ちの安藤さんは、アジア競技大会とアジアパラ競技大会の両方で「愛知・名古屋2026応援サポーター」を務め、9月19日の開幕日から10月24日の閉幕まで、久屋大通公園のONE ASIA WORLDとオアシス21のONE HEART WORLDのステージに立ってきました。
冬の競技の選手だった安藤さんが、夏の大会の「裏方」として見たものは何だったのか。パラアスリートに感じたこと、子どもたちに伝えたいこと、そして地元・名古屋のことについて詳しくお聞きしました。

| 名前 | 安藤美姫(あんどう・みき)さん |
| 立場 | プロフィギュアスケーター。愛知・名古屋2026応援サポーター(アジア競技大会・アジアパラ競技大会) |
| 競技歴 | 2002年に女子選手史上初の4回転サルコウを成功。トリノ2006・バンクーバー2010のオリンピックに出場し、世界選手権は2007年と2011年の2回優勝 |
| 今大会での主な活動 | 5月に応援サポーター就任。9月14日の公式グッズ発表会、9月19日の開幕日のONE ASIA WORLD、10月3日のソフトボール決勝の始球式、10月23日・24日のONE HEART WORLDのトークショーとアスリートセレブレーションなど |
| 社会貢献活動 | 日本介助犬協会「介助犬サポート大使」、スペシャルオリンピックス「ドリームサポーター」、日本財団「HEROsアンバサダー」など |
「今は感極まる気持ち」
――今日まで、応援サポーターとして、アジア大会からアジアパラと続いて駆け抜けられたと思います。終わってみて、今の気持ちを聞かせてください。
安藤 地元の愛知・名古屋2026のアジア大会、そしてアジアパラ大会が、自分が生まれ育った地で、このアジア最大の国際大会の応援サポーターとして、やはりこの大会に携わらせていただけたことが、冬の競技者としても、夏の競技にこういうふうに一緒に応援させていただける立場になれたことに、すごく感謝の気持ちでいっぱいでした。その一部に自分がなれたっていうことに本当に今は感極まる気持ちです。
裏方として支えるっていうのが、引退してから初めての経験だったと思います。ゲストとして登壇させていただいたり、メディアの方に取り上げていただいたりとかはしたんですけれども。
やはりこういうふうにスタッフの皆さんに支えられて、自分もその一人として、今回パラ大会なので、ONE HEART WORLDのメンバー、ファミリーとしてご一緒させていただけたっていうのが、本当に温かい方たちの支えを、この目で見て、大会を応援できたので、それがいつもと違ってすごく良かったかなと思います。

「私たちアスリートと何も変わらない」
――今回、裏方としてパラの選手たちとたくさん関わってみて、いかがでしたか。
安藤 パラアスリートに携わって感じたことは、アスリートとして同じようにトレーニングをして、メンタルをケアして、体をケアして、そして一つ一つの大会に向かっていく姿勢っていうのは、私たちアスリートと何も変わらないです。もしくは、もっと体を酷使しなければいけないパラ競技っていうのは、本当に大変な忍耐力と体力と体作りがいるんじゃないかなって個人的にすごく感じることが多い経験をさせていただきました。

他の競技もそうなんですけれども、ボッチャでは、いろんな階級(障害の種類や程度)の方がいらっしゃいます。今回私が観戦させていただいたボッチャは、シンプルだけれども、すごい難しいです。
私も何回かやらせていただいたことがあるんですけど、本当にボールがコロコロいっちゃったりします。それを障害がある体でコントロールして、頭脳も使うっていうところでは、本当にフィジカルもしっかりやっていかないといけないっていうのも、すごく勉強にもなりました。
やはり私も引退して、今ではあまり滑ってはないんですけれども、こういう経験を私が携わる子どもたちに伝えていっていけるのかなっていうふうに、いろんな勉強をさせていただきました。ただ本当に、いちアスリートとして何も変わらない、本当に強い精神、本当に強い気持ちを持っているアスリートたちに出会えた、そんなアジア大会、アジアパラ大会だったかなと思います。
「好きという気持ち」と「まっすぐ向き合うこと」
――今、子どもたちの話が出ました。子どもたちにスポーツの魅力を伝えるとしたら、どのように伝えたいですか。
安藤 子どもたちがスポーツを好きになるって、まず本当にこのスポーツが好きだっていう気持ちが一番大事なんじゃないかなと思っています。
私は一人のアスリートとして、本当に、金メダルが欲しいと私は思ったことがなくて。とにかく私もフィギュアスケートを好きっていう気持ちで始めて、その気持ちがなくなったことが一度もないっていうところが、やっぱり長く続けてこれた絶対的な要因だと思っています。
子どもたちにとって、大事なのは、トップになること、金メダルを取ることではなくて、自分が好きだな、頑張りたいなって思った競技と、まっすぐ向き合って、どんな時も諦めないで前に進む力っていうのを、スポーツを通じてすごく勉強できることじゃないかなと思うんです。
まずはいろんなスポーツ、もしかしたらアジア大会、アジアパラ大会で初めてスポーツを見に行った子どもたちもいるんじゃないかなと思うので、そこで感じるものが何かあって、好きになったスポーツがあったら、まずは一歩踏み込んでやってみてほしいなっていうふうに思いました。

「表彰式の後、多分もう一度実感できる場所なんじゃないかな」。アスリートセレブレーションの意味
――ONE ASIA WORLDとONE HEART WORLDを、客観的に見て、アスリートを祝福するこのような試みは、アスリートにとって、どういう力になると思いますか。
安藤 私がこういう経験をしたことがないんですけど、そのアスリートの方がアスリートロードを歩く前に、サポーターとして、いちゲストとして歩かせていただきました。逆に、これは私が一番に歩いていいのだろうかと、やっぱりアスリートのために作られたステージだったので、ちょっといやーって思ったんですけど(笑)
本当に、たくさんのお客さんが本当にもう左右、前後にいてくれて、声援を送ってくれる、おめでとうって言ってくれる、お疲れって言ってくれる、そんな空間を初めて経験しました。アスリートにとっては、こういう経験が初めての選手も多分いると思うんです。

――そうですね。過去にセレブレーションに出たことあるよっていう選手は、今までインタビューしていて一人もいませんでした。
安藤 そうですよね。アスリートの皆さんは、どういう感じなんだろうって、最初は思ったと思うんです。
でもいざ名前をコールされて、アジアの時は久屋大通、パラアジアの時はオアシス21のステージに立った時に、本当にたくさんの方が目の前で拍手をくれる、おめでとうっていうメッセージをくれました。
温かく見守ってくれるっていうのは安堵というか、「あ、良かった」っていうのを、表彰式の後、多分もう一度実感できる場所なんじゃないかなって思います。

日本代表としてこの場で戦ったんだっていう自覚が最終的に持てて、いろんな思いをしたアスリートがいると思うんですけど、次に進む力にもなる、そんなステージでした。自分がまだ現役だったらそういう感じなんだろうなっていうのをすごく感じました。
公式のインスタグラムで、その時のメダリストだったり、パラアスリートの皆さんの満面の笑みだったりとかを見ると、それがもう答えかなって。このステージがあることの意味なんじゃないかなっていうふうに思います。
※ONE ASIA WORLDやONE HEART WORLDの模様を配信している公式Instagram(oaw_aichi_nagoya2026)

「名古屋はスポーツに対する思いっていうのは熱い都市なんじゃないかな」
――安藤さんから見て、名古屋、愛知の魅力を教えてください。
安藤 名古屋、愛知は、スポーツ選手が、トップアスリートと言われるスポーツ選手が多いんじゃないかなとすごく思っています。イチローさんもそうですし、フィギュアはすごく多いと思うんですね。
他の水泳でもですし、ショートトラックとか、いろんなスポーツでトップ、日本代表、日本の国旗を背負って活躍しているアスリートがすごく多いと思います。
というのは、愛知県、名古屋以外でもそうなんですけども、名古屋市で言うと、やっぱりそういうスポーツを支えてくれる皆さんがいるから、スポーツを応援してくれる名古屋のみんながいるからこそだと思います。私は名古屋はスポーツに対する思いっていうのは熱い都市なんじゃないかなってすごく思っています。
それで、世界的に言うとジブリパークも今あります。私も個人的に大好きなので、すごい嬉しかったんですけど(笑)
あとはご飯、食文化っていうのは名古屋独特のものがあるので、いろんなものをギュッと楽しめる、魅力の詰まった街なんじゃないかなっていうふうに思っています。

――食べ物で言いますと、安藤さんのご実家は、久屋大通駅近くであんかけスパゲッティで有名な喫茶店「る・るぽ」を営んでいるそうですね。
安藤 ここ(愛知芸術文化センター)の8階にも喫茶店があるんです。ケーキとか、軽食しかないんですけど。今回は皆さんが知ってくれてたので、そのコーヒーとサンドイッチを出させていただいて、少し裏方でも家族も携わらせていただいて、本当にスタッフの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
――久屋大通駅近くの喫茶店は知っていましたが、愛知芸術文化センターの喫茶店もご実家のお店だったんですね。今度、行ってみます(笑)
「スポーツの力を大きくするのは、応援してくださる皆さんの力」
――最後に、アジア大会、アジアパラ大会を応援してくれた人たちに一言お願いします。
安藤 本当に温かい声援だったりとか、応援をたくさんいただきました。やはりスポーツの力を大きくするのは、応援してくださる皆さんの力だと思っています。これを実感できたのが、このアジア大会、アジアパラ大会の皆さんの声援でした。今回もステージ前に本当にたくさんの方がいらっしゃったと思います。皆さんの応援がアスリートの力になり、スポーツの力になります。
これを機に知ったスポーツでもいいですし、前から応援してくださっていたスポーツ、何でもいいんですけど、これからも応援よろしくお願いします。そして、アジア大会、アジアパラ大会のサポート、本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。
――ありがとうございました。

安藤美姫さんのプロフィール
名古屋市生まれ、名古屋育ちのプロフィギュアスケーター。2002年のジュニアグランプリファイナルで女子選手史上初の4回転サルコウを成功させ、トリノ2006、バンクーバー2010のオリンピックに出場。世界選手権は2007年の東京大会と2011年のモスクワ大会で優勝しました。
現在はプロスケーターとして国内外のショーに出演し、コーチや振付、テレビ出演のほか、日本介助犬協会の「介助犬サポート大使」、スペシャルオリンピックスの「ドリームサポーター」、日本財団の「HEROsアンバサダー」など、障害のある人やスポーツを支える活動を続けています。
2026年5月、第20回アジア競技大会・第5回アジアパラ競技大会の「愛知・名古屋2026応援サポーター」に就任。9月14日の公式グッズ発表会、9月19日の開幕日のONE ASIA WORLD(久屋大通公園)、10月3日のソフトボール決勝の始球式、10月23日と24日のONE HEART WORLD(オアシス21)のトークショーとアスリートセレブレーションなどに登場しました。

「金メダルが欲しいと私は思ったことがなくて」。世界選手権を2度制したスケーターの言葉として意外に聞こえますが、話の中心はいつも「好きという気持ち」と「まっすぐ向き合うこと」でした。アジア大会・アジアパラ大会の応援サポーターとして参加し、パラアスリートに「私たちアスリートと何も変わらない」と感じたという安藤さん。地元・名古屋で生まれた声援を、「スポーツの力を大きくするのは、応援してくださる皆さんの力」と締めくくりました。
ONE HEART WORLDはどんなイベント?
ONE HEART WORLD(ワン ハート ワールド)は、第5回アジアパラ競技大会の大会公式セレブレーション・ファンゾーンです。10月18日(日)から24日(土)まで、オアシス21のアジアパラ競技大会ライブサイトの中で開かれ、入場は無料でした。19日から24日はオリンピアン・パラリンピアンが日替わりで登壇する「レジェンドアスリートトークショー」、20日から24日はメダリストや出場選手を迎える「アスリートセレブレーション」がありました。日別の登壇ゲストと時間割はONE HEART WORLDの記事、ライブサイトのステージや体験コーナーはライブサイトの記事にまとめています。
| 名称 | ONE HEART WORLD(ワン ハート ワールド) |
| 期間 | 2026年10月18日(日)〜24日(土) |
| 最終日24日の時間 | 10:00〜10:45 アスリートセレブレーション、17:15〜18:00 レジェンドアスリートトークショー、18:00〜 閉会式の中継 |
| 会場 | オアシス21(名古屋市東区東桜1-11-1)アジアパラ競技大会ライブサイト内 |
| 入場料 | 無料 |
| 公式サイト | oneheartworld-aichi-nagoya2026.org |
前日23日のONE HEART WORLDは23日のレポ、22日は22日のレポ、21日は21日のレポ、アスリートセレブレーション初日の20日は20日のレポにあります。
安藤さんが登壇した前日23日のトークショーとアスリートセレブレーションは23日のレポにあります。
よくある質問(FAQ)
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安藤美姫さんの今大会での役割は?
組織委員会が委嘱した「愛知・名古屋2026応援サポーター」です。アジア競技大会とアジアパラ競技大会の両方で、大会の情報発信や会場のステージ出演で大会を盛り上げる役目で、ONE ASIA WORLDとONE HEART WORLDのステージに立ちました。
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安藤さんが子どもたちに伝えたいことは?
「子どもたちがスポーツを好きになるって、まず本当にこのスポーツが好きだっていう気持ちが一番大事」。「金メダルが欲しいと私は思ったことがなくて」と自身を振り返り、好きになったスポーツがあったら「まずは一歩踏み込んでやってみてほしい」と話しました。
※この記事は2026年10月24日にオアシス21のONE HEART WORLDで行った安藤美姫さんへのインタビューをもとにしています。